No.108 Last Up Date 2000,2,14


2000年2月22日〜4月02日

吉仲太造展

京都市美術館

111

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3月20日を除く月曜日 休館日
 一般400円、大生200円 料金

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吉仲太造展

戦後美術を読み直す

 シリーズ展「京都の美術ー昨日・きょう・明日」はこの度27回目を迎えました。今回は京都出身の画家・吉仲太造(1928-85)を取り上げ、大胆に作風を変えながら、戦後美術を生き通した彼の軌跡を、約90点の作品によって振り返ります。
 1928年に京都で生まれた吉仲は、終戦直後に行動美術京都研究所で学ぶことで、画家となる第一歩を踏み出します。1950年には行動美術の若手作家たちと『青年会』を結成し、京都や大阪・神戸で展覧会を開く一方、当時若い芸術家たちのサロンとなっていた四条河原町近くの喫茶店『キサラギ』に出入りして、多くの画家や陶芸家、美学者らと芸術論をたたかわせる日々を過ごしました。
 1952年に上京してからは、河原温、池田龍雄、芥川紗織らとのグループ展、個展等を通じて、<地球人>などのダイナミックで諧謔性のある絵画を発表し、時代の潮流を代表する若手作家となりました。1960年代には、新聞紙、釘、ボタン等を用いたコラージュ作品に取り組み、新聞の株式欄をコラージュした連作<遺産>(1966年頃)では、経済の肥大と表裏をなす人々の精神の空洞をするどくえぐり出し、象徴的な墓標を提示しました。
 1960年代から再び絵筆を取った吉仲は、郵便ポスト、パンや花を鮮やかな色彩ののなかに描き出し、コミュニケーションの不在や現代的な疎外感を独自のスタイルで表しました。
1970年代以降の吉仲は、うつ病と戦いながら制作を続け、連作<病と偽薬>(1975年頃)においては、シルクスクリーンによる静物などの映像を、白と灰色の無彩色のなかに、消えゆく影のように浮かび上がらせてゆきます。
 そして、1981年の個展『非色の逆説』では、白い絵の具の筆触とわずかな陰影だけで描かれた連作を発表し、以後56歳で亡くなるまで、無駄な要素をそぎ落とした絵画のあり方を求めつづけました。
一見全く異なって見える吉仲の各時期の仕事には、硬質で結晶度の高い造形、深い洞察と批判力、そして全体に漂う不思議なユーモアが一貫して存在しています。そして同時に、これらは変貌を続けた日本の戦後社会の、精神の軌跡であるともいえるのです。
 徹底してモノを描くことで、戦後の日本人の精神史を描ききった吉仲太造の仕事を回顧することにより、戦後の美術と人間の動向を、従来とはまた違った観点から見直すことが可能になるのではないでしょうか。
なお、『所蔵品展示』では、京都時代の吉仲太造とゆかりのある美術家を、約15点の作品によってご紹介いたします。あわせてご高覧ください。
」(同展チラシより)

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出品作品

 

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訪れたの2月29日の午後。雪のちらつく寒い日ではありましたが、それにしても来場者は少なく、各部屋に二、三名といったところ。
層としては、中高年の婦人が約半数、定年後とおぼしき男性が約半数、それに学生。
と、まあ数はきわめて少なかったわけですが、来場者が感じている手応えはあった様子で、雰囲気にさもしさはありませんでした。

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ご感想などお寄せください。

いわやん(京都)
吉仲太造を知ったのは今回がはじめてです。チラシを見て少し気になるところがあって、それで訪ねてみたのですが、結果は、アタリ。
現代美術の、見ていて、感覚がここちよく刺激されてすっとするというところがあって、楽しめました。
この作家の特徴を私なりに説明しますと、
工芸的な感覚が強いと感じました。デザイン的なセンスが良いのと、造形の手法が工程的というのか、パターン化されていると思えたからです。その結果、口当たりの良い仕上がりの作品が多い。
弱点を指摘すれば、その反面、モノ作りに流れてしまうというのか、動機が希薄になりがちだということですね。
第一印象のレベルではそんな思いがしました。
これから、とりあえず図録に目を通したりして、もう少し反芻してみます。

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