No.121 Last Up Date 2000,3,21

ぬぬぬ2000,4,08-5,07に滋賀県立近代美術館で開催されたものの巡回展と思われます。

ラファエル前派展

近鉄アート館

会期 2000,8,25-9,17
休館 会期中無休
料金 一般1000 大高生800

 



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ラファエル前派展

 1848年ヨーロッパに革命の嵐が吹き荒れた頃、イギリスで若い芸術家たちが、ロイヤル・アカデミーの伝統に反旗を翻し、絵画の革新を企てて秘密結社を結成しました。その名は、ラファエル前派同盟。
 中心となった三人の画家、ジョン・エバレット・ミレー(1829-1896)、ウィリアム・ホルマン・ハント(1827-1910)、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ(1828-1882)は当時二十歳前後の若者でした。
 ラファエル前派は、中世末から初期ルネサンスのイタリア美術、すなわちラファエッロ以前の素朴で誠実、敬虔な精神にあふれた美術に憧れ、その復興を目指しました。
 イタリア・ルネサンスの巨匠ラファエッロが、自然を凌駕する古典的理想美を確立して以来、芸術家は古代やルネサンス、さらにその正統な後継者を任ずるバロック美術に理想を求め、そこから導き出される規範や法則が、アカデミーの中で長年にわたって遵守されてきました。
 こうした閉塞的な状況に反発したラファエル前派は、真摯な態度で自然に接し、すべてを自然から直接写し取ろうと試みました。そして目に映ずるむままの色鮮やかな色彩と精緻な細部描写を達成したのです。
 ラファエル前派は、このように徹底したリアリズムを追及する一方で、想像力の翼を羽ばたかせ、宗教画や神話、文学、寓意、教訓などを主題にした絵画を好んで描きました。
 特にダンテ、シェイクスピア、キーツ、テニソンなどの詩文学、アーサー王伝説のようなロマンティックな中世騎士物語、おとぎ話やギリシア神話などが広く愛好されました。
 またアーサー・ヒューズの清楚で可憐な<オフィーリア>、バーン・ジョーンズの夢見る乙女、ロセッティの官能的で謎めいた美女やウォーターハウスの妖艶な『宿命の女(ファム・ファタール)』というように、彼らは様々な『ラファエル前派美人』の典型を創り上げました。
 ラファエル前派の様式そのものは、初期の厳格なリアリズムから、次第に詩的・幻想的な性格を強め、当初は否定した古典的様式も取り入れ、やがて審美主義運動や象徴主義の流れと合体していきます。
 本展は、ラファエル前派が愛好したテーマに基づき、『宗教と神話』、『文学と寓話』、『女性と恋』、『風景−陸と海、都会と田園』、『水と妖精』の五つのセクションから構成され、ラファエル前派の優れたコレクションで知られる英国マンチェスター市立美術館の所蔵品を中心に、油彩、水彩、素描計91点を展示いたします。
 迫真的なリアリズムと夢や幻想、ロマンが不思議に溶け合う独特の世界を繰り広げたラファエル前派と彼らと親交の深かった古典派、審美派の画家たちの多彩な魅力にあふれた芸術をお楽しみ下さい。」(滋賀県立近代美術館で開催された時の同展チラシより)

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出品作家

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス
エドワード・コゥリー・バーン=ジョーンズ
ジョン・エバレット・ミレー
ウィリアム・ホルマン・ハント
ジョン・ブレット

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ひ訪れたのは、4月18日の午後。平日の郊外の美術館とあって、やはり空いていた。二、三分入りといったところ。
 層としては、女子学生が約半数(近くに大学がある)。中高年の婦人が三割、あとカップルが数組で、男性が数名。
 雰囲気としては、一点、一点をじっと鑑賞してゆく姿が多かった。
「ラファエル前派」というタイトルや、あるいはあのチラシのカットで、興味を持って訪れている観客であれば、予想通りの手応えがあったと思われる。

「ラファエル前派」の展覧会としては、私の知る限り、関西では1995年に大丸ミュージアム梅田で開催された「ラファエル前派とその時代展」があるが、手元の図録をざっと見渡したところ、今回と重複する作品は見当たらなかった。
今回も会場が都心のデパートであれば、満員の盛況だったと思われるが、それはともかく、「ラファエル前派」は日本でも潜在的なファンは多そうで、もう少し開催が重ねられれば(五年に一回くらいのペースで)、印象派、エコール・ド・パリなんかに次ぐような人気ジャンルになるかもしれない。

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ご感想などお寄せください。

いわやん(京都)
 行く前は、あのテのタイプだな、などと、それほど期待はしていなかったのですが、いざ作品の前に立つと結構ハマってしまって、楽しむことの出来た展覧会でした。
 理由は、よくわかりませんが、小さな要因としては、緑(自然)のリアリティを感じるようになったことが一つあります。背景が森やガーデンである作品が多いのですが、その植物の気配を感じ取れるようになったのですね。十五年前に「ラファエル前派」を見た時のことを思い出しても、特に印象には残っていないのですが、今回は緑が生々しく感じられました。「ラファエル前派」の作品において、植物、自然が小さくない役割を担わされていることは素人でも察せられますから、そのことによって、作品の味わいが増したことは間違いありません。
 それともうひとつ、やはり多くの作品で描かれている女性についても、十五年前とでは見方が変わってますね。女性の美しさについて、魅せられるという感覚が育ってきたようです。若い時にもつ異性への関心とは違う、・・・何でしょうか。単なる中高年の視線なのかもしれませんが。
 会場で気になったのは、「ラファエル前派」の運動の考え方についてでした。パネルの解説を読んでもよくわからなかったのです。解説と作品が結びつかないというのか・・・。
 ご存知のように、、「ラファエル前派」というのは、ラファエル以前のルネサンスを範にしようというところから出発しています。簡単にいえば、様式化されたものに反対し、自然から直接、学ぼうというようなものです。その考え方自体は、印象派とも一見似ているわけです。が、両者の作品はかなり違う。なんだろう、この差はと。
 ・・・哲学関係の本で、「風景」の話を読んだことがあったんですが、風景というのは、近代以降出現したものだということが書いてあったんですね。どういうことかというと、昔の人にとっては、いい景色なんていう、見方はなかったと。目の前の光景は、すべて意味があるもので、漫然と眺めることなどはなかったというわけです。
 印象派とラファエル前派の違いは、一つそういうことがあるのかもしれません。ラファエル前派の描く自然は、今の私達からすれば、ありのままというよりはあまりに意味的(物語的)で、その差がとても大きく感じられる・・・、その意味を避けてみようとすれば、たぶんそれは作者とあまりにかけはなれた思いを持つことにもなるでしょう。
「ラファエル前派」についての今回の戸惑いには、そこらあたりのことが大きいかもしれません。
 まあ、このあたりは感覚だけで作品を鑑賞しようとすることの限界で、勉強しないと深みがわからないのでしょうね。
 ということで、楽しめましたが、大きな課題も持って帰ることになった展覧会でした。

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ぬぬぬ

ラファエル前派展

滋賀県立近代美術館

会期 2000,4,08-5,07
休館 毎週月曜日
料金 一般1000 大高生800

 

展覧会のスケッチ

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