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tomo(2000,9,01)美術館えきkyoto会場
開館日の午後6時半頃に行きました。「ダフニスとクロエ」のような愛の物語を題材にした版画集があっただけにカップルが多かった。
肝心の出品作は版画集がメインですが、非常に良かったです。版画でここまでカラフルで綺麗なものが作れるのには驚きました。「ダフニスとクロエ」は特に綺麗だった。他にも「ポエム」や「サーカス」という版画集がありましたが、これらもgood!
また、自分の展覧会用にシャガールが自作したポスターが10点前後ありましたが、これも非常に綺麗です。ロートレックよりもシャガールの方が綺麗なポスターを作ってたのかもしれない。私はこれの方が気に入りました。
ただし、主催者は本当にやる気があるのか非常に怪しい。開館3周年記念といっておきながら、単に借りて来た作品を並べただけで、記念としての意気込みが感じられない。というのも、よその"専門学校"が今回の展覧会と関係なく作ったコレクション図録を今回の標準カタログとして販売しているのだ。しかもその図録が作られたのは1995年!!美術館「えき」ができる前やないか!!普通、何周年かの記念で開く展覧会では、しっかりした図録を作ると思うのだが。せっかく版画集をまとめて展示してるのだから、資料性のある図録を作って欲しかった。
しかも今回の展覧会と関係がないことを明示してないから、気づかず買ってしまった人は帰ってから後悔させられるだろう。出品されたものはたくさん漏れてるし、出品されてなかったものが載っている。展覧会にあったコーナーが一つ丸ごと抜け落ちてて、無かったコーナーが図録には存在している。
展覧会自体はお勧めなのですが、売店には気を付けましょう!
いわやん(2000,9,21)美術館えきkyoto会場
シャガールの版画は、焼物(陶器)を品定めするのに似ているなと思いました。
「○○焼」といったようにシャガールらしさは全体に共通していて、その中で、色目がちょっと良いのがあったり、姿(構図)がよかったりと、その僅かな違いの中で、鑑賞を楽しむことができるからです。
あるいは、パッと見て楽しめて、じっくり見て味わいがあるという点も焼物に似ているといえるでしょう。
ですから、家のどこかに飾るようなことを想像しながら見るというようなこともできる。
そのあたりが、人気が高い理由でしょうか。
そうそう、もう一つ焼物に似ていると思ったのは、名人芸だということですね。
シャガールの絵を分析的に見つめたりもしたのですが、パターンのようなものは見つけにくかったのです。色彩は十二色程度の絵具をそのまま使ったようですし、絵柄も、人や動物が丸っこく描かれているという特徴はあるものの、様式というほどではないようです。一見、簡単に真似られそうで、たぶんむずかしいだろうなと。東洋の文人画のような、洒脱さを愉しむというようなところがあるような感じがしたのです。蓄積、研鑚してきたものをそのまま出すのではなくて、そんなもの何もないかのように遊んでみせるというような。
棟方志功なんかとも似ていると思ったのですが、棟方は多作というより、彫って彫って彫りつづけたという作家だと思いますが、シャガールもそのような作家なのでしょうか。
そのような連続から、あのような、一点一点の作品の出来不出来を越える、境地というような作風が生まれたのかもしれません。
余計なおせっかいかもしれませんが、視力に自信のないかたは、スコープなどを持参して、モノクロのシリーズもぜひご鑑賞ください。指の先ほどの大きさの人々の顔の表情が、とてもいいです。一見すると、さらさらと描き流しているようですが、シャガールの脳裡にはしっかりとしたイメージがあるのだなということが、それを見てもよくわかります。
P.s. 図録は、確かに紛らわしいですね。tomoさんに聞いてなければ、わからなかったと思います。
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