「ガラス芸術アール・デコの華
『ルネ・ラリック展』
ルネ・ラリック(仏・1860-1945)がガラスを手掛けるようになったのは1908年、48歳の時でした。すでに宝飾デザイナーとして名声を博し、1900年のパリ万博でも高い評価を受けていた彼に、コティ社が香水瓶のラベルデザインを依頼したことから始まります。1920年代は19 世紀末から続いたアール・ヌーヴォー様式が衰退し、簡略化されたモダンなアール・デコが新たなムーブメントとして花開いたころ。時代の申し子のように斬新な発想でガラス素材をあらゆる分野に拡張し、3000種以上のデザインを創作します。製作面においても従来の手工業的な1点制作主義から、工場での量産システムを切り開き、芸術と産業を結びつけ、デザインの大衆化に大きな足跡を残しました。 青年期に学んだ彫刻・彫塑の知識、宝飾品デザイナーとして確立した優美な感性、そして一貫して愛し続けた自然美、これらが独特の美の世界を作り上げ、「ガラスに生命を吹き込んだ作家」として称賛されます。そして1925年の国際博覧会(通称、アール・デコ展)ではガラス作家としても不動の地位をかためることになりました。 本展では、ラリックの創作テーマである自然の生命の輝き・風・光などをモチーフにした花瓶約100点を中心に、装飾人体像、香水瓶、化粧小物、装身具など200余点を一同に展示いたします。」(大丸梅田店のHPより)
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「モダン・ジュエリーの先駆者
ガラス工芸の巨匠
アール・ヌーヴォーからアール・デコへ
ルネ・ラリック1860-1945展
日本においてルネ・ラリックの名は、主にガラス工芸作品、特に優美な香水瓶の制作と結びついて知られています。しかし彼は19世紀末のいわゆるアール・ヌーヴォー時代に、従来の因習にとらわれない素材とモチーフの扱いで一世を風靡した宝飾デザイナーでもありました。
プラチナやダイヤモンドだけでなく、金や七宝細工、獣角やガラスそして半希石を巧みに利用し、女性や動植物をテーマに創り上げられた独創的なジュエリーの数々は現在、『モダン・ジュエリー』の起源と見なされています。
20世紀に入り、ラリックは更に当初ジュエリーの一素材として用いられていたガラスそのものに着目し、数々の素晴らしい作品を生み出して行きます。
彼はその際、香水瓶や花瓶のみならず、オブジェや宝飾品、建築といった領域にまでガラスの可能性を広げ、型吹き成形やシール・ペルデュといった技法を研究・開発してガラス作品の大量生産への道をも切り開きました。このようなラリックに対する仕事の評価は1925年にパリで開催された国際博覧会、通称アール・デコ博で決定的となります。
リスボンのグルベンキアン美術館やオルセー美術館、パリ装飾美術館など国内外から集められた、デザイン画を含む約400点の作品で構成される本展は、芸術と産業の融合という近代デザイン最大のテーマをめぐって、ジュエリー・ガラスの両分野に稀有な足跡を残したラリックの偉業を総覧する、またとない機会となることでしょう。」(京都国立近代美術館のチラシより)
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